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特別教室「小さく始めてちゃんと稼ぐ、自伐型林業の話」レポート

[講師]
上垣喜寛氏(NPO法人「自伐型林業推進協会」事務局長)

[講義内容]
「小さく始めてちゃんと稼ぐ、自伐型林業の話」

1月28日(土)小田原の旧三福にて、特別教室第56回「小さく始めてちゃんと稼ぐ、自伐型林業の話」を開催しました。講師にお招きしたのは、NPO法人「自伐型林業推進協会」事務局長の上垣喜寛さん。
林業のこれまで、いま、そしてこれからについての概要に始まり、実際に「自伐型林業」に取り組んでいる方の事例についても赤裸々に語って頂き、熱い夜になりました!

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現在の林業は、衰退産業の代名詞。山に生えている木々を根こそぎ伐採するような「皆伐」が横行していたり、初期投資に莫大な費用がかかるために新規参入が難しかったり、環境面でも経営面でも問題が山積していて衰えるばかりなのが実状です。

一方「自伐型林業」は、‟稼げる”林業としていま注目を浴びています。山に入って木を育てて切って運ぶ、という一連の流れをひとつの事業者で行う、自家伐採を行うのが自伐型林業の特徴。小規模に行うことで初期投資を少なく抑えることが出来るほか、無作為な間伐ではなく、木々を丁寧に見ながらより選んで伐採していく「択伐」を行うので環境保全や長期的な森林経営が出来る、持続可能な「これから」の林業なのです。(実際、昔はこの形で営まれていたものが経済成長と共に現在の林業の形になってしまったそう)

上垣さんのお話は、実際の自伐型林業従事者の方の収支やその内訳など、かなりリアルな部分にまで!補助金を利用したり、観光業や農業などと兼業したりしながら、確かにちゃんと稼げている人がたくさんいることがわかりました。
さらに、最近の自伐型林業の発展には、移住者が増えたり、林業に伴う観光業が発展したりと、その場所に出来たコミュニティに新たに価値が生まれる、という予想外のメリットもあったのだとか。単に稼げるだけではない、地方創生のひとつのキーになっていくのが自伐型林業なのかもしれません。

お話のなかで、「伐採業」ではなく「林業のプロ」を育てないと山は育たない、という上垣さんの言葉が印象的でした。その二者について考えた時、その圧倒的な違いは「土地への愛」なのかな、と思いました。その土地に住んで、四季を山で過ごすその暮らしの中で育まれていく、土地や山、木々への愛着。自分が道を作り、自分が選んで切る、という覚悟。それはきっと、日本中の山を刈って回る「伐採業」では絶対に生まれないものです。その土地に住まう人々が「自分の山」を育てていくからこそ、林業が持続可能なものになっていくのだと思います。上垣さんご自身が楽しそうに語られるお姿や、四万十での林業が大きなムーブメントを生み出している事例を聞いていると、愛と志を持って林業に携わる人たちがすでに日本中に現れているように感じました。日本の林業、これから面白くなっていきそうです。

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[暮らしの教室から 3つの質問]
■上垣さんのターニングポイント
「自伐型林業推進協会」理事の中嶋健造氏との出会い。
■幸せのモノサシ
人の変化との出会いに触れること。
林業に携わって稼げるようになった人の姿や、楽しそうに暮らす人の姿を見た時に幸せを感じる。
■これから望む社会
山での暮らしが大切になっている社会。
もっと山に人が戻ってきてほしい。

講師プロフィール—
NPO法人「自伐型林業推進協会」事務局長。1983年生まれ。2008年に独立し情報発信業をスタート。中山間地域の暮らしをテーマに執筆・撮影等を重ねる。12年に「自伐協」代表理事(当時・土佐の森・救援隊)の中嶋健造氏と出合う。取材を重ねながら自伐協の立ちあげに参画し現在に至る。共著に『震災以降』(三一書房/14年)、『深海でサンドイッチ』(こぶし書房/15年)、映画『自由貿易に抗う人々』(16年)監督。和歌山県に先祖の山を持つ。