あなたを幸せにするジブンノモノサシ
 

特別教室76  須黒達巳「クモ界のアイドル ハエトリグモに魅せられて」レポート

[講師]
須黒達巳

[講義内容]

9月の特別教室は、ハエトリグモを愛してやまない分類学の研究者、須黒達巳(すぐろたつみ)さんをお招きして旧三福にて開催しました。テーマは「クモ界のアイドル ハエトリグモに魅せられて」。ディープでした、クモの世界。
 

 
クモや虫好きな人はクモにどっぷり浸かった2時間、ヒトに興味がある人は須黒ワールドにどっぷり浸かった2時間だったのではないでしょうか。須黒さんのクモ愛がひしひしと伝わってくるし、ユーモアのあるトークに引き込まれました。実は小学校の教員をされている須黒さん。こんな先生だったら、理科嫌いが減りそうだなぁ。
 
トークが始まると、基本的なハエトリグモの紹介から、なぜ須黒さんがハエトリグモにハマったのか、小学校の教員でもある須黒さんが普段学校でどんなことをしているのか…などなど、トピックは多岐にわたりました。須黒さんは分類学の専門家なので、新種を発見して命名するまでのエピソードなど研究者ならではの話も続出。なんと、須黒さんが命名した「シロスジカノコハエトリ」は小田原のわんぱくらんどで最初に発見されたそう。
 

 
大学院を卒業してから教員になるまでの2年間、定職にはつかずに自然環境研究センターなどで野外調査や標本同定のアルバイトをしていた須黒さん。学生時代には公務員か教員になろうと思っていたものの、大学院生の頃にハエトリグモの図鑑の出版の話をもらって、後悔なくやり切ったと思えるように全力で取り組もう、と就職せずに、図鑑の執筆をしたそう。結果として、これまでの取り組みも含めて評価され、現在の勤務先である小学校に就職されました。好きなこと、自分にとって大事なことをとことん突き詰める、って大切だし、それで人生が切り拓かれることもあるなぁ、とグッときました。
 

 
須黒さんがキラキラした瞳でクモについて語ると、会場の皆さんもどんどん前のめりになっていくのがよくわかりました。最後、参加したほぼ全員が笑顔で須黒さんの著書を購入していったことにはビックリ!情熱も愛も、伝わりますね。
 
 
[暮らしの教室から 3つの質問]
■須黒さんのターニングポイント
図鑑の企画をもらったとき。それまでは安定志向だったが、安定を最優先にすることが自分にとって本当に大切なのか、と考えさせられた。もしかしたら一度しかない出版に全身全霊をかけたいと思った。
 
■幸せのモノサシ
10年前の自分が今の自分を見た時に、『こいつすげぇ』と思ってもらえるか。でも何かしら経験として得ているものはあるから、どんなふうにすごしていたとしても10年前の自分に教えられるものはきっとあると思う。
 
■これから望む社会
最近は、自分の子ども、生徒、後輩に手をかけすぎて、その子が自分で失敗する機会を奪っているのでは。安全を与えすぎることで、人生のなかで本人が決めてすることの割合が減る。もっと本人の好きにやる、ということが日本でスタンダードになってほしい。
  〈と当日はお答えいただきましたが…後日須黒さんから改めて下記の回答をいただきました。〉
  “「人と違うことをするのに抵抗のない」世の中にもう少しなってほしいなと思います。”