特別教室 「Are you happy ?」レポート

講師 稲垣えみ子(フリーランス)

会場 RIVENDEL

日程 12月17日土曜日 14:00-16:00

節電生活で注目をあびている、稲垣さん。
話を伺っていると、節電や退職したことより、素晴らしい価値観、モノサシが見えてきた。
人はいずれ死を迎える。
体力や記憶力は落ち、病にかかり、死を迎える。
それは「得る」ことに幸せを感じている人には、とてつもないショックだし、不安だ。
頭ではわかっているつもりでも、改めて言われるとハッとする。
そんな「失う」不安や将来に対して、稲垣さんはとても真摯に向き合い対策を立てているのだと思った。
これがなくては生きていけないもの、例えば電気や家電、仕事等等、それをチューブにたとえ一つ一つ外していく。
簡単なことではないが、外しやすいものから外していき、外す前に感じていた不安が、逆に自由や気持ちよさに変わることが、
次のステップへと後押ししたのだろうと思った。
それを本当に全て外しても生きていけるとわかった時、本当の「自由」だと思ったそうだ。
やりたいことが見つからない。もしかしたらそれは、まわりに実は不要なものが多すぎて見えていないだけかもしれない。
そんな風にも思った。
私自身、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、車やパソコン等々より便利なものをと開発されたものに囲まれ生活している。
それは決して悪いことではないのだが、要はそれが当たり前という認識は、地震が来るのに避難訓練をしていないようなものなのかもしれない。
断捨離やミニマリストという言葉が一般的になる中、その本質は近しいものがあると感じた。
なければ私は不幸なのか。という問いを自分自身に問いかけた。
お金に対する価値観も面白かった。
お金を大事と認める一方、得意不得意があるというのだ。
例えば、「縁を切る」そういう時にはお金がぴったり。
大型スーパーに毎日のように行っても、そこで人間関係は生まれないが、小さな商店に毎日通えば、
常連となり、いつの間にかお金以外のやり取りも生まれ温かい関係が生まれる。
普段どういうところで食事をし、買い物をするということは、幸福度を左右しているのだ。
ポイントカードや値段の安さと、目に見えない豊かさは交換されてしまっているのだ。
目の前の損得に左右されない胆力が必要なんだと改めて思った。
消費することで成り立つ経済が行き詰まりを迎えている中で、
一人一人が今の価値観、本当に必要なものを疑う必要があるのかもしれない。
 「便利」を疑う。「便利」は何かを失っているかもしれない。
それは、本当の自由へ近づいていく一歩なのだと思った。
「ない」という幸せ、これはこれから先必ず必要なモノサシだ。
なぜか懐かしい感覚がするのは、仏教と近いところがあるのだと思う。
まずは、うちも掃除機ではなく職人さんの箒で部屋を掃くことから始めようと思う。
RIVENDEL
熊澤
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■ターニングポイント
アフロは打ち上げの席でのかつらが好評だったため
節電は東日本大震災
■幸せのモノサシ
お金を介さない繋がり
■これから望む社会
そんな繋がりが広がっていく
稲垣えみ子
一橋大学社会学部
1987年朝日新聞社入社
高松支局→京都支局→大阪本社
朝日新聞大阪本社社会部デスク 週刊朝日編集部などを経て
2013年春から論説委員→編集委員
2016年1月で退社
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