特別教室107 ハヤシコウ 「イタリアとワインとデザインと」レポート
講師 ハヤシコウ[株式会社ミズコルビノデザイン代表/一般社団法人おいしい生ハム普及協会理事]
会場 旧三福
日程 2022/01/23 16:00-18:00
昨年11月に成城学園前から小田原の海のそばでへ移転したワインバー&ショップ『Quindici del Mare(クインディチ デル マーレ)』。 あっという間に人気になって、市内外からのお客さんたちでいつもにぎわっています。
ワイン好きをうならせるこのお店のプロデュースをしたのが、ハヤシ コウさんです。
デザイナーであり、イタリア料理やワインの監修もされているハヤシさん。実は『日本人初のイタリア人』という異名を持っています。そんなふうに表現されるハヤシさんって一体どんな人なんだろう?と気になって気になって、今回ゲストにお招きしました。
イベント当日の話題はタイトル通り多岐にわたり、イタリアの話にはじまりハヤシさんの仕事や人生についての哲学も聞くことができました。
ハヤシさんは19歳のときから日本とイタリアを行ったり来たりしています。
一番最初にイタリアを訪れたのは、気になる女の子がイタリア好きで「オレも好きで、来週からイタリアに行くんだ!」と話を合わせたら引っ込みがつかなくなって…というのがきっかけなんですって。そんな情熱的なエピソードもなんだかイタリアっぽい。
印象的だったのは「好きになるための努力」の話。最初は興味のなかったイタリアでしたが、気になるあの子を振り向かせるため、来たからには手ぶらで帰るわけにいかない!とイタリア語を猛勉強して現地のレストランで働き結局8ヶ月間(!)も滞在したそう。そこには、イタリアを好きになるための努力がありました。言語を学び、文化や歴史を知り…そうするうちにもっとイタリアが好きになっていく。それを積み重ねて今ではイタリアにまつわるお仕事がライフワークになっているんだから、「好き」の力ってすごいです。
“僕は好きなことだけをして生きていきたいんです”とハヤシさん。そして、好きだったはずのことを仕事にして我慢しちゃう、ということもしたくない、嫌いになりたくない、とも。その言葉はすごく自由なようにも響いたけれど、オトナを経験したわたしたちは実はそれがどれだけ大変なことか想像できます。好きなことに本気で向き合って、そして結果を出し続けてきたんだろうなぁ。
イタリアって愛の国、ってイメージ。ハヤシさんも好きなものをとことん愛す、愛の人でした。イタリアの歴史や文化を深く学び心から愛し、愛した道を行く、その姿こそがまさにハヤシさんが『日本人初のイタリア人』と呼ばれる所以なのだなぁ、と感じました。
[暮らしの教室から 3つの質問]
■ハヤシさんのターニングポイント
19歳のときにイタリアを訪れたこと。
■幸せのモノサシ
同じワイン、同じ料理でもシチュエーションが違うと味が変わる。美味しい場所で、美味しい人と飲む、食べるシーンを少しでも増やしたい。
■これから望む社会
ユニークで個性的なあり方が受容されて、みんながそのままで生きられたらいい。ハヤシコウらしく生活ができて、お金が稼げたら。
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ハヤシコウ(株式会社ミズコルビノデザイン代表/一般社団法人おいしい生ハム普及協会理事)
多摩美術大学在学中よりイタリアに目覚め、大学卒業後、都内イタリアン勤務の後、イタリアのマルケ州ウルビーノISAに留学。帰国後、都内ワインバー勤務を経て、2005年ミズコルビノ・デザイン LLPを設立。2014年に株式会社ミズコルビノデザインに。イタリアをはじめヨーロッパのハイブランド広告を手掛ける。東京のイタリアンを中心とした飲食店のロゴ、マーク、内装のデザインや、レストランのメニューやワインリストの監修、及びイタリアに関連した番組や記事の監修も。近年では、絵本『えんとつ町プペル』(幻冬舎)のロゴも。現在、小田原でイタリアンのワインショップ兼ワインバー「クインディチ」のカウンターでヒビイタリアの美味しさを伝道中。