特別教室133回 神藤 秀人「d design travelの作り方」レポート
講師 神藤 秀人(d design travel 編集長)
会場 熊澤酒造
日程
6月の特別教室は茅ヶ崎 熊澤酒造にて、講師には、神藤 秀人(d design travel 編集長)さんをお招きしました。
ロングライフデザインをテーマに活動する D&DEPARTMENT PROJECT が、47都道府県それぞれにある、その土地に長く続く「個性」「らしさ」を、デザイン的観点から選びだして、観光ガイドとしてまとめたものが「d design travel」です。
編集長 神藤さんが自ら、その地に足を運び、2か月間暮らしながら旅をして、本当に感動したものだけを「ロングライフデザイン」の視点で、本音で紹介しています。
情報満載の旅行雑誌ではなく、D&DEPARTMENTの感覚で確かめ、10年後も継続する生命力と、地場からのメッセージをしっかり持っている場所を自らの出向き、選定しているそうです。
編集の考え方
- – 感動しないものは取り上げないこと。本音で、自分の言葉で書くこと。
- – 問題があっても、素晴らしければ、問題を指摘しながら薦めること。
- – 取材相手の原稿チェックは、事実確認だけにとどめること。
- – ロングライフデザインの視点で、長く続くものだけを取り上げること。
- – 写真撮影は特殊レンズを使って誇張しない。ありのままを撮ること。
- – 取り上げた場所や人とは、発刊後も継続的に交流を持つこと。
しっかりとしたコンセプトに沿って選んでいるので、どの場所も在り方やデザインに個性があり、古いと感じさせない長く続いていくしっかりしたメッセージを放っています。
選定の仕方もお話いただきました。
まずはワークショップを行い、参加者が各々意見を出し合い、その土地の良いと思う場所の候補があげられます。その数300店舗ほど。そして神藤さんは実際に、その推薦された場所300店舗に足を運ぶそうです。
取材対象選定の考え方
- – その土地らしいこと。
- – その土地の大切なメッセージを伝えていること。
- – その土地の人がやっていること。
- – 価格が手頃であること。
- – デザインの工夫があること。
また「d design travel」の発売に合わせて様々な催しを展開されています。各地を題材にした同時代の新作落語「47都道府県落語」を、1県に1つずつ、全県つくっていく「d47落語会」を行っているそうです。
また渋谷ヒカリエには、「d design travel」をより感じられる場所もあります。
その土地で出会ったつくり手の想いと、編集部が感じた魅力を伝えて販売している「d47 design travel store」や、デザイン物産美術館「d47 MUSEUM」、地域の食材や食文化を伝える「d47食堂」など展示、販売、飲食、様々な勉強会やワークショップなどを展開しながら、47の個性とその魅力を伝えています。
神奈川県号で、熊澤酒造を取り上げていただいた時も、大きな大きな酒造りの道具を運んでくださり、展示していただきました。
「毎回とても大変ですが、文章よりも実際のものをみていただいた方が伝わるから。」という神藤さん。
快く運んでくださる姿をみると、いつも現地の人々とコミュニケーションをとりながら、素直に感動したものを紹介してくださっているのだと感じました。
■暮らしの教室からの3つの質問
ー神藤さんの人生のターニングポイントは?
もともと建築の道を目指して、友達と造形学校にいったのがきっかけです。こういうものをつくりたい!と思ったのが最初のターニングポイント。車のデザイナーになって働いていたが、震災があり色々な疑問が自分の中で出てきたのも、その時で「残すものをつくりたい」という想いが沸き上がりそれを機に退職し現在に至ります。
ー神藤さんの幸せのものさしとは?
気持ちにゆとりがあるということ。イベントができたり、新しい仕事ができたり、新しい出会いに繋がった時。
ーこれからの未来に望むことは?
色々と地域を回ると、もともと地元住んでいる人よりも移住者やIターン、Uターンの方が活動している現場が多い。もっと地域の人がもっと頑張って活躍していけるように、元気な日本になればいいな。地元らしい地域が増えたらいいなと思っています。
神藤さんありがとうございました!!