特別教室138 東野 唯史「ReBuild New Culture」レポート

講師 東野 唯史(ReBuilding Center JAPAN 代表)

会場 旧三福

日程 2025/01/11(土)15:00 - 17:00

今回ゲストにお迎えしたのは、長野県は諏訪市にある「ReBuilding Center JAPAN」代表の東野唯史さん。たくさんの方にお越しいただきありがとうございました!

「ReBuilding Center JAPAN」は古材や古道具、家具を販売するリユースショップ兼カフェ。古いものをきれいにして販売するだけでなく、古材からリメイクしたフレームを販売したり、店舗の内外装の設計なども行っています。2016年に開業して徐々にお客さんが増え、今では年間5万人も訪れる人気の場所となりました。
実は旧三福不動産は2018年4月にリビセンに社員研修で訪れていて、そのサスティナブルな取り組みと地域に根ざしたスタンス、それでいておしゃれな空間づくりにとっても感動したのでした(当時の研修レポートがあります)。下記の写真はその時に撮影したもの。

この日のトークは、東野さんが古材とお近づきになったきっかけは店舗設計の仕事で材料費を安く抑えるためだった、とかアメリカのポートランドにある本家の「ReBuilding Center」の思いに共感して世界で唯一名前をもらった時のエピソードなど立ち上げ期のお話や、今リビセンはどんな仕組みで回っているのか、東野さんの妻・華南子さんが担うリビセンのマネジメントのこと、地元企業と合同で行う事業のことなどなどなど…リビセンってどんなことしてるの?どんな人たちなの?を余すところなく知れる2時間でした。

お話を聴いて感じたリビセンのすごいところは、ロマンとそろばんのバランスがいいこと。ポートランドの本家リビセンもNPOだし、地域に根ざしたサスティナブルな取り組みって補助金やボランティアの稼働を軸に運営している団体が多いイメージだったんですが、諏訪のリビセンはビジネスとして成り立っているんです。情熱はありながら数字面はシビアに見ていて、みんなで食べていける、チームが継続していける仕組みがそこここに張り巡らされています。

ああ、だからこそかっこいいのだな、と思ったのです。何にも縛られない自立したチームだからこそ、自由なアイディアで動き回れる。必要な部分にきちんとお金を掛けたり、こだわりたい部分にとことんこだわれる。そんな妥協のないあり方と取り組みに、みんな魅力を感じるし共感するのだな、と。だからリビセンがパイオニアとなってお店を始めた諏訪に、そのかっこよく楽しそうな背中を追いかけていろいろな人たちがお店を開いたり移住したりしているのはすごく自然な流れだと思いました(もちろんそうなるための仕掛けもリビセンがたくさんされていたはず)。

そんなリビセンは、リビセンのようなチームを全国にもっと増やすため「リビセンみたいなおみせやるぞスクール」(わかりやすい!)を2023年から開催されています。これまで培ってきたノウハウをオープンソース化して、同じ志を持つ人々に惜しみなく共有しています。これってまさにリビセンの理念「ReBuild New Culture」の体現だ…!リビセンが作ってきた仕組みを通してみんなで新しい文化を創造しようぜ、というそのスタンスがまたかっこいいじゃないですか。これから全国にリビセンのような拠点が少しずつ増えて、諏訪のように元気になっていく地域も増えて…そんな社会っていいなぁ。

トークのあとに東野さんにサインをお願いしたら「Let’s ReBuild New Culture!」と書いてくださいました。そっか、わたしたちもリビセンと共に新しい文化を創造するその一員なんだ。

《暮らしの教室から3つの質問》
●東野さんのターニングポイント
リビセンがオープンして1年ほどの頃、過労で妻・華南子さんが倒れてしまったこと。息子が生まれ育児が始まったこともあり、家族で共に過ごす時間を増やそうと遠方での仕事をセーブし諏訪での仕事を増やしていったところ、結果的に諏訪のエリアリノベーションが進んでいった。

●東野さんの幸せのものさし
家族が幸せで、スタッフや地域の人たちなど身近な人たちが幸せであること。そのうえで事業がちゃんと成り立つことが自分の幸せ。

これからの社会、地域がこういうふうになってほしい
モノがちゃんと大切にされてほしい。社会の仕組みや暮らしのあり方やものづくりが、“モノを大切にする”を前提に回っていく工夫が増えたらいいな。



ReBuilding Center JAPAN 代表
東野唯史

84年生まれ。名古屋市立大学芸術工学部卒。
2014年より空間デザインユニットmedicalaとして妻の華南子と活動開始。全国で数ヶ月ごとに仮暮らしをしながら「いい空間」をつくりつづけてきました。 2016年秋、地域資源のリユースカンパニーReBuilding Center JAPANを長野県諏訪市に設立。ReBuild New Cultureを理念に掲げ、次の世代に繋いでいきたいモノと文化を掬いあげ、再構築し、楽しくたくましく生きていける、これからの景色をデザインしていきます。
2022年に株式会社すわエリアリノベーション社設立し、諏訪の空き家活用を進めています。
2023年には「リビセンみたいなおみせやるぞスクール」の開催をスタート。全国にリビセンみたいなお店が増えて、みんなの地域資源が循環する仕組みづくりのサポートをしています。

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